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「無力増上縁」という考え方はNWOに対抗する発想のヒントになる

〇「人に迷惑をかけない」は無責任で縁起に悖る教えとおっしゃる方がいたが違うと思う。一口に縁起と言っても「因縁・所縁縁・等無間縁・増上縁」の四縁がある。このうち増上縁は有力増上縁と無力増上縁に分けられる。有力増上縁とは他が存在するのに積極的に関与する間接的原因・条件=縁である。無力増上縁とは他が存在するのを妨げない原因・条件=縁である。つまり「人に迷惑をかけない」とはそうすることで「他者が存在するのを妨げない」という立派な「無力増上縁」である。人に迷惑をかけない=無力増上縁の現成である。

※「因縁」とは物事の直接の原因としての縁。「所縁縁」とは認識対象としての縁。何かを認識する場合、その認識対象が所縁縁にあたる。「等無間縁」とは常に刹那消滅しつつ相続する心相続において、現瞬間の心の原因となる一瞬前の心。先行する心と現在の心の間に間隙がないから「無間」という。「増上縁」とは間接的な原因・条件の全て。物事の生起・存在を妨げない事も含む(無力増上縁)。

〇仏教の「他を妨げない縁」という無力増上縁という考えはすごい発想である。縁というと何か積極的なものを連想するが、それだけではなく、何かが存在する事を妨げない存在も縁と捉える。そういう意味では、銀河の果てにある塵芥も自分の存在を妨げていないという意味で「縁」があるということになる。何でも積極的に関与して結びつけるのだけが「縁」ではない。これは「博愛」や「正義」で偽装して多様な文化圏に介入して引っ掻き回し、それらを破壊した上で全世界を画一化していこうというワンワールド的発想に対抗できるアイデアだ。

〇超国家的権力が介入するのではなく、それぞれの国・民族・地域がそれぞれ主体的に国家や文化を営んでいく。それは相互の「絶縁」ではなく「無力増上縁」なのである。そういう発想が可能となる。先哲が残した遺産にはNWOに対抗する叡智が秘められている。


(了)

by kokusai_seikei | 2015-10-13 22:53 | 思想哲学解析 | Trackback | Comments(0)


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