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「八紘一宇」とワンワールド思想

「八紘一宇」とは国柱会創設者で日蓮主義者の田中智学の造語。意味は全世界を法華経に帰依させるワンワールドである。日本書紀には「掩八紘而為宇」とあるので「八紘為宇」が正しい。それを敢えて「一宇」にしている意味。「各々所を得る」多元的共生と一元的ワンワールドどちらが日本の伝統的理想か。田中智学の八紘一宇は全世界を法華経に帰依させるという意味だ。鎌倉幕府に他宗を全面禁止させようとした日蓮の論理を推し進めると「全世界の法華経化」という所に行き着く。

伝統仏教の中でこれと対照的な論理が華厳の「事事無礙法界」だろう。理が消え現実の現象=事がそのまま調和するという論理だ。「理が消える」と言っても、文字通り理法(空性)や法則が消滅する意ではない。現象と法則が二元的に認識されなくなる(無分別)という意味である。現象あれば法則あり、法則は必ず現象として現れる、そのことをしかと把握し、実体的なものとしての「理」(例:イデア)への拘りが消えた境地である。華厳の「四法界」説は思想の分類モデルとして参考になる。四法界とは【事法界・理法界・理事無礙法界・事事無礙法界】という四つの世界観類型である。田中智学の八紘一宇思想は「法華経」という「理」が全てを制圧する「理法界」である。プラトニズムもキリスト教も「理」の優越を説く点で同断である。

自民党が「八紘一宇」と言うと、ワンワールドの言い換えにしか聞こえない。三原議員に入れ知恵したのは誰であろうか。日本会議には日蓮系の新興宗教も参加しているし、何より国柱会が参加している。「日本会議員にあらずんば保守議員にあらず」という風潮があるそうなのでネタ元には事欠かないだろう。(了)


by kokusai_seikei | 2015-09-16 01:42 | 思想哲学解析 | Trackback | Comments(0)


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