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ナチス思想について

自己を無限に拡張しよういう志向性を持つのがニーチェ哲学だと思うが、ファッシズム・ナチズムはその延長にあると言える。自己をどんどん拡大させていき、最終的には「神」(もちろん神道でいう日本的な意味での神ではない)にまで進化するというのがナチズムである。そしてそれは絶えざる闘争の果てに他者を蹂躙して生き残ることでたどりつけるとする。全と個の相補的調和ではなく、無限に拡大された個が全体を支配するところまで行き着く、というのがこの手の超人思想の目指すところである。オリンポスの神々を気取り、全世界をその手に握らんとする国際秘密力中枢の発想と同種同根である。ファッシズム、ナチズムが国際秘密力のコマの一つであるというのは思想面からも言えるのではないだろうか。


人間が進化の果てに「神」になる、というナチズムの発想は、グノーシス主義や新プラトン主義と軌を一にする西洋神秘主義の一形態であるといえよう。
人間が進化の果てに「神」となる、という思想は神智学の中心的教義「霊性進化論」であって、この思想の影響を受けたアーリア至上主義者であるウイド・フォン・リストがナチス思想形成に影響を与えている。従ってナチズムは西洋オカルティズムの系譜を受け継ぐ思想であると思う。


そして神智学協会のブラバッキー夫人は教義を形成する上でフリーメイソンから影響を受けているそうだから、神智学の霊性進化論の延長にあると思われるナチス思想はフリーメイソンと同種同根の思想であると言える。
つまりフリーメイソンにおける猶太主義(フリーメイソンは猶太的神話やヘブライ語、カバラを重視している)をアーリア主義に移し替えただけで、この両者系譜を同じくする神秘思想ではなかろうか。また組織構成についても、ナチスの母体となったトゥーレ協会を遡るとゲルマン騎士団に行き着くが、このゲルマン騎士団はメーソンの位階制を模倣して作り上げた神秘主義的な秘密結社であったらしい。


万物万象をして「各々その所を得しめる」という我が国縄文以来の和・共生の精神と強者が弱者を蹂躙淘汰するをよしとするナチズムは絶対に相容れることがで きない。スターリン・毛沢東を崇拝するのと同じようにヒトラー崇拝は間違っている。社会進化論をベースにするという点でナチと新自由主義は同断。


※霊性進化論はオウム真理教の「神仙民族VS獣人」という二元論的なカルト教義にも影響している。


(了)

by kokusai_seikei | 2015-09-15 22:41 | 思想哲学解析 | Trackback | Comments(0)


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