〇「合理主義」中村元著で理性主義を考察。「理」とは二つの意味あり。一つは人間としての道理、筋道という意味。これは人の意志に関わるので行う事も行わない事もできる。もう一つは自然法則などの客観的な法則性。こちらは人の意志に関わりなく一定である。通常「合理」と言う場合は後者に重点がある。
〇西洋の理性主義が冷たいのは「理性」というものを感情や情緒と対立するものと規定して、それらを排除して成り立つものとするからだろう。下手をすると仏蘭西革命や露西亜革命のように人間の心情や尊厳を踏みつぶして血の粛清を繰り広げる所まで行きついてしまう危うさがある。大東社系の危険性はここ。 〇そもそも感情や情緒を排除した「理性」を基準にする事自体に「合理的」根拠がある訳ではない。そのような基準を設ける事自体に合理性は無く一定の判断に基づく恣意的基準だと言える。人の心情に配慮した暖かな心持ちに「道理」としての「理」があると言えるので、それを「合理的」と呼ぶ事もできる。 〇「合理的」と言う場合「目的合理的」という意味の場合が殆どである。目的の為に最大限の効率性を追求する視点である。人間的な心情や尊厳など、その過程で無視され切り捨てられるものも多い。これが果たして「合理的」と言えるのか?「合理」とはもっと人間の総体を配慮した定義づけをすべきだと思う。 〇人間の道理に合致する=合理という定義の方がよいと思う。東洋において考えられてきた道理観は大体そのようなものである。西洋の理性主義の場合は客観的な法則性に合致するというニュアンスが強い。かかる「合理」観に基づき人間社会にも自然法則のようなものがあるという独断を持ち込む場合も多い。 〇ヘーゲルやマルクスの理性主義は「客観的な法則」のようなものが人間社会にもあるという世界観である。共産主義者などは「歴史法則」を絶対の真理と信じ、人としての道理は無視する傾向があるが、それを「合理的」な態度だと思い込んでいる。大東社系の理性主義者は「理性」を掲げながら暴力を振るう。 〇「理性」「合理」という場合の「理」について以下の二つの意味。①人としての道理②客観的な法則。大東社系の理性主義者が「理性」を奉じて革命を起こした末に独裁と粛清という暴力に陥るのは「理」の定義が②に偏っているからだと考える。しかもその「理」たるや客観的でも何でもない只の独断である。 〇西洋の思想派閥を「一神教・神秘主義・理性主義」と分類しているが、理性主義も結局単なる独断を「理性」と呼んで粉飾しているに過ぎないもので、一神教や神秘主義と同質の「教義」であると言える。歴史上、理性主義者が理性的な行動をとる事は少なく、一神教原理主義者や神秘主義者と大差はないのだ。 〇自分を「理性的」で「合理的」だと思い込んでいる人間は他人の心情や尊厳を土足で踏みにじる場合が多い。「理」の定義が先ほどの定義②「客観的な法則」に偏っているからである。しかも、実際には客観的でも何でもない訳である。東洋伝統の①「人としての道理」が重要との中村博士の見解に同意である。 〇一神教系と神秘主義系に比べると陰謀追及界隈では批判的検討があまりなされていないと思われる理性主義系についてまとめて考察してみた次第である。「合理主義」中村元著を参考にした。東洋にこそ本当の合理主義の伝統がある事を論じた名著である。今年やり残しの「破NWO思想」=年末大掃除完了。 〇とかく理性主義者は勝手に拵えた独断を「客観法則」だと僭称しがちである。これは一神教徒や神秘主義者が独断的ドグマを作り上げるのと何ら変わらない。「弱者は淘汰されるべきだ」「人口削減は不可避だ」「ワンワールドは歴史の必然だ」など、全て「客観的な法則」を僭称するドグマである。 〇理性主義について考察したが、一方の一神教は「反理性主義」「反知性主義」である。キリスト教は知性や理性を徹底的に嫌悪し抑圧した。大東社系の理性至上主義はその反動として現れた。理性を至高のものとして崇拝するか、全く無意味なものとして全否定するか。西洋文明は両極端で二元論的傾向が強い。 〇理性を万能視したり崇拝するのも、全否定するのも両極端である。理性とはいわば推論の能力。推論能力は人間にとって不可欠だが、過つ事も多い心の機能である。よって、慎重に懐疑的な視点(「間違っている可能性は無いか?」など)も持つ事で初めてまともに機能する。「崇拝」などもっての外である。 〇理性は唯識の心理論で言うと「尋」「伺」である。「不定」の心所に分類される。「不定」とされるのは善にも悪にも働くからである。「理性=絶対善」と見る見方より冷静な定義である。この定義なら理性崇拝には陥らない。国際秘密力が謀略や陰謀の為に働かせる悪知恵は悪く働いた「尋」「伺」と言える。 〇「理」に二つの意味。①人の踏み行なうべき道理としての「理」②客観的な法則性としての「理」。「魔術」とは②を利用して力を生み出す技術であり、近代科学もその延長上にある。法則性自体は客観的だが、それを利用する人間の行為が道理に適っているとは限らない。秘密力の場合は①は完全に無視する。 〇②客観的な法則性を利用して「力」を生み出す国際秘密力に圧倒されて幻惑される者もいる。被幻惑者は自然法則などを利用して力を行使する国際秘密力を「合理的」だと思うのだろうか?だが、①道理を完全に無視して破壊と殺戮を繰り返す国際秘密力には「理に合致する=合理性」は微塵もありはしない。 〇前述した「尋」「伺」」について説明する。尋は対象の全体をおおまかに推求する心理作用である。伺は対象をより細かく詳しく推求する心理作用である。「不定」の心所に分類されるのは善にも悪にも働くからである。例えば、病を治す方法を研究するのも、大量殺戮兵器の研究開発も尋・伺の働きである。 〇五感と思考(見る・聞く・嗅ぐ・味わう・触れる・考える=眼耳鼻舌身意)に気を付ける、というのが洗脳対策の基本だと考える。五感のみならず思考にも気を付ける必要があるのは五感から入った情報は当の五感が途切れても表象=イメージや概念、記憶として残り思考によって反芻され刷り込まれるからだ。 〇五感には当然「色・形」「音」などの対象があるが、五感のみならず思考にも対象がある。「思考対象」がなければ「思考」も無い。「思考対象」を五感の対象と同列に見て気を付けておく事は重要である。NWO征略の思想ツールもまず五感から入り、次に思考対象となる事で心理に刷り込まれるからである。 〇シンボルや音声、文字情報はまず五感から受容されるが、それは単に瞬間的な五感では終わらず何らかの表象=イメージとして印象を残し、文字情報は概念的思考の対象となって五感が途切れても思考対象として心理に影響を与え続ける。これで思考対象にも気を付ける必要性が分かる。だから「六識」である。 〇感官と対象の接触から認識作用、さらに対象に対する「欲望」が生じる。よって「欲望」も必ず「対象」を持つ。見(眼識=視覚)た事も触れ(身識=触覚)た事もない「1億円」を「欲しい」と思う事ができるのは「1億円」という表象=イメージ、言葉、概念が思考(意識)の対象になっているからである。 〇現代人の欲望の対象の多くは五感より思考の対象ではないだろうか。電子マネーなどが最たるものだが。五感で認識されなくても「金」への欲望は際限がない。あるいは物体的な商品も実用性よりステータス誇示を目的に購入される場合も多い。このような欲望の対象の本質は観念や表象=イメージにある。 〇物体的な実態を持たない欲望の対象は無際限に作り出す事ができる。例えば「ポケモンGO」はただのデータを欲望の対象として作り出す事で多くの人間を動かせる事を示した。欲望が人を動かすなら欲望の対象を操る者が人を動かす。国際秘密力は欲望の対象を次々に作り出す事で人々を洗脳・誘導している。 〇結局現実に人の生きる世界は認識された世界である。見る・聞く・嗅ぐ・味わう・触れる・考える=眼耳鼻舌身意=六識(六境=色声香味触法を対象とする。六根・六識・六境)。この六つの認識領域に気を付ける事が洗脳防御の基本指針になると改めて思う。洗脳の経路はそれ以外にはあり得ないからである。 https://twitter.com/kikuchi_8/status/815038928247865344 (了)
by kokusai_seikei
| 2017-09-27 00:41
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